成功する研修の5W1H

成功する研修の5W1H

ベリタス・コンサルティングが考える“成功に導く研修”を実現するための
考え方を5W1Hになぞらえてご紹介します。

  • なぜ研修をやるのか

  • 正しい研修テーマの
    考え方

  • 研修の対象者

  • いつやるべきか

  • どこでやるのか

  • 適切な手法とは

WHY

背景

なぜ研修が必要なのか(背景)を明確にしましょう。研修実施の背景には、しっかりとした根拠が必要です。

世の中には、様々な研修プログラム(学習手法)が存在しますが、「万能の研修プログラム」といった便利なものは存在しません。常に研修の背景(実施したい理由)を意識することで、適切な手法を選択することができます。当然、背景が明確であるほど、より具体的で適切な手法の選択が可能となります。背景が曖昧であれば、手法を選択する基準も曖昧になり、研修プログラムの効果もぼやけたものになります。

成功する研修を実施するためには、まず第一に「なぜ研修をやるのだろう?」という問いかけから考えることが重要です。一般的には、その背景に「個人(社員)に関する課題」「組織に関する課題」の2つがあります。

個人(社員)に関する課題は、「スキルUPさせたい」「モラルUPさせたい」という二つが典型的です。「スキルUP」とは、社員個々の技能的な能力を高める目的です。この課題は「研修」で教育する最もポピュラーなものです。一方、「モラルUP」は、個人の道徳心や遵法精神といった価値観・マインドを育成することが目的です。この課題は、単に個人の一般常識の問題ではなく、会社・組織の持つ(目指す)価値観や風土・文化が密接に関係してきます。組織に関する課題と関連させて議論する必要があります。

もう一方の組織に関する課題には、「生産性をUPさせたい」「組織に一体感を出したい」「組織自体を作りたい」といったものが多くみられます。これらは、個々の能力を最大限引き出すマネジメント機能の強化や、チームビルディングといったテーマにつながります。

注意点としては、「課題→テーマ」と安易に考えるのではなく、「課題→(課題を生じさせている)原因」と一歩戻って考えることです。「WHY」とは、課題とその原因を併せた「背景」となります。「組織に一体感を出したい!(課題)→チームビルディング研修(テーマ)をやろう!」ではなく、「なぜ組織に一体感が無いのだろう?(原因)」を考えることで、本当に効果のある(成功する)研修を実施することができます。原因によっては、研修では解決できない可能性もありますから、留意する必要があります。

また、もし背景(課題)が複数ある場合については、無理にひとつの研修で実現しようとせず、テーマを分けて企画することをお勧めします。目的が複数あると、学習手法の一貫性を保つことが難しくなったり、そもそも受講対象が同一とは限らなくなってしまいます。

WHAT

テーマ

研修の実施テーマを明確にしましょう。研修のテーマは「WHY(背景)」に沿ったものであることが原則です。
研修のテーマも、個人を主体としたテーマと、組織を主体としたテーマの2つがあります。

個人を主体としたテーマについては、「スキル」「知識」「マインド」といった3つに分類して設定する場合が多く、背景によってどの部分に比重を置くのかを選択します。3つそれぞれについても、より具体的なテーマ設定が可能です。

「スキル」については、個人が身につけたい汎用的なビジネススキルである「ポータブルスキル」と、自社の業務遂行に密接に関連した「業務スキル」の2つに分類できます。「知識」も同様に、組織や業務に関係なく世間一般で共通する「一般知識」と、自社の業務遂行に必要な「業務知識」に分類されます。「マインド」についても、社会人として求められる「社会人マインド」、自社の社員として求められる「風土・文化に基く価値観(社員としてのマインド)」に分けられるでしょう。

組織を主体としたテーマは、主に組織的な背景(理由・ニーズ)によって設定されます。「組織開発(部門間連携の強化など)」「戦略策定(事業戦略策定、採用戦略策定など)」…このようなテーマは、単なる学習というより、必要な考え方(プロセスと手法)を提示し、受講者が主体となって考え、アウトプットを導き出すワークショップ形式で実施されるケースがあります。

WHO

対象(受講者)

研修の実施対象は、可能な限り絞り込まれていることが望ましいと言えます。組織の「役職・等級」といった縦の階層による区分と、「職掌(職務・職種)」という横の区分で分類して設定することが一般的です。これを組織構造的区分と言います。年功的人事制度を運用している場合、「役職・等級」が年次と連動していることが多く、「入社○年次」という設定の仕方も多く見られます。

また、組織の階層と機能で区分する以外に、「役割」で定義することも可能です。例としては、「(人事評価における)評価者」「(はじめて部下を持つ)新任組織長」などがあります。

注意点としては、設定した受講対象が極端に広い場合、学習の前提となる土台(知識・スキル・経験のレベル)の幅が大きくなるため、どうしても学習内容が一般論中心となり、結果として学習効果や受講者の満足度が低下する恐れがあります。逆に対象が絞られる程(例「課長補佐限定」「○等級限定」など)より具体的に業務に直結した学習内容を取り入れることができますが、同時に教育できる人数は減ってしまいます。対象者の設定は、テーマに基づき適切な範囲で設定しましょう。例えば、業務に深く関連した学習内容を想定している場合は、対象(受講者)をより限定的に設定する方が効果的ということです。

「WHO 対象(受講者)」は、基本的に受講者の「組織構造(職制)上の状態」で定義するものです。もうひとつの要素「WHEN タイミング」では、受講者の「キャリアパス(時間軸)上の状態」で定義することが多く、この2つは密接に関連してきます。

WHEN

タイミング

研修の実施時期については、必要な時期に必要なテーマを設定することが原則ですが、その期(年)のどのタイミングで実施するかというミクロな視点と、そもそも社員のキャリアパスに対して考えるマクロな視点のタイミングの二種類があります。

具体的には、「内定時」「入社時(導入)」「入社後」「管理職昇格前」「管理職昇格後」…といった設定方法です。この様に、キャリアパスに連動してタイミングを設定し実施する研修を「階層別研修」と呼びます。

階層別研修の利点としては、人事制度におけるキャリアパスがしっかり設定されている組織であれば、階層によってレベル感も平均化されているため、研修内容の設定もし易くなり、実施タイミングも揃えやすいとう利点が挙げられます。全階層を対象に企画・実施を行うことが難しい場合でも、組織の中核となる階層に対して、しっかりと計画的に研修を実施することは非常に効果的です。

近年では、中高年のキャリア開発が大きな課題となっていることもあり、役職に関係無く「45歳到達時」「55歳到達時」といったタイミングでの研修実施も増えています。

「WHEN タイミング」は、受講者の「キャリアパス(時間軸)上の状態」で定義する場合が多く、もうひとつの要素「WHO 対象(受講者)」は、基本的に受講者の「組織構造(職制)上の状態」で定義するものです。この2つは密接に関連してきます。

WHERE

場所

「研修」を実施する場所は、研修の効果を大きく左右する重要な要素です。

まず「社内」か「社外」かで大きく研修の性質が異なってきます。基本的な考え方として、多くの場合「研修は非日常が望ましい」という原則があります。非日常の環境である程、学習に対する集中力が上がる、つまり効果が高まるという考え方です。

研修受講中にお客様から携帯に連絡が入ったと言って退室したり、常にスマホや携帯でメールを確認したり、日常業務を言い訳にして研修を中断する場面が見られます。もちろん講師や人事担当者から「電話やメールは休憩時間中に!」と注意をして運営しますが、受講者の感覚では「仕事だから仕方ない!」という意識が強く、講師から厳しく指導することが難しいのが実情です。そのような人が続出することが予想される場合は、「合宿」という形式で業務から隔離した環境をつくることで、研修内容に集中させることが効果的です。

近年では、Web環境の発達で、家庭での学習も容易になってきました。時間や場所を選ばずに自分のペースで学習できるテーマであれば、Webを活用したeラーニングは非常に効果的です。

社内の会議室を使って行う研修も多くありますが、これは、実施の容易さ(参加し易さ、コストの安さ)を重視しているためです。本当に重要で、受講者の集中力を求めるのであれば、実施し易さを中心に考えるのではなく、効果を最大化できる環境を用意することが重要です。「WHERE 場所」の決定は、「WHAT テーマ」から最適な環境を考えて用意しましょう。

「WHERE 場所」の決定上の注意点としては、環境を用意する際のコストを事前に予算に見込んでおくことです。会場費、設備費(ホワイトボードやPC・プロジェクターなど)、受講者の交通費・食費・宿泊費など、実施に必要な「環境」に関連する予算は大きく変動します。「環境としては合宿が望ましいですが、予算が無いので社内の会議室で実施します…」では、せっかくの研修の効果が下がるリスクがあります。研修企画の初期段階(WHATテーマの決定くらいのタイミング)で、必要な「環境」を想定して予算化を行いましょう。

HOW

手法

研修に関する「手法」には様々なものがありますが、研修は「人材開発」の一手法であることを意識することが重要です。人材開発の手法には、大きく「業務内」と「業務外」の二種類があります。業務内の手法は、一般的に「OJT」と呼称される通常業務を通した育成と、「プロジェクト」や「タスクフォース」と呼ばれる、通常の業務単位とは異なる体制・目的で実施される活動があります。

業務外の手法とは、いわゆる「研修」と呼ばれる「OFF-JT」です。社員自身や現場の自主性で運営される「勉強会」は、業務内と業務外、両方の性質を持っていると言えます。「研修(OFF-JT)」の手法には、「オフライン」と「オンライン」があります。これはIT(Web)環境の発達によってできた区分であり、オンラインは「PC・インターネットを使った研修」ということです。一方のオフラインとは、一般に「集合研修」と認識されている手法です。

人材開発の視点から考えれば、研修(OFF-JT)は手法のひとつであり、まず「育成すべき内容(育成課題)」を明確にした上で、「業務内」「業務外」の活動を整理し、業務外の育成活動として「研修」を企画・実施する必要があります。育成効果の高い研修とは、「人材開発の視点でより上位の観点から設計された体系化された手法」であると言えるでしょう。

人材開発の視点で考えられた研修を含めた人材開発の方法を整理した体系を「人材育成体系」と呼びます。「人材育成体系なんて超大手企業だけの話」と思われる経営者も多いかと思いますが、実際には従業員100名規模から人材育成体系を整備しているケースも多くあります。

具体的には、人事制度の基盤としても重要な「期待役割(等級・職掌によって定義される「役割」)」をベースに、各職の「あるべき姿」を定義します。期待役割とは「○職・○等級の人の役割と責任・・・」といった内容であり、あるべき姿とは「 ○等級・○職の人は、・・・という人であるべきだ」という定義です。この「あるべき姿」は、各職務の「ビジネスプロセス」に沿って、「知識・スキル・マインド」などの要素で整理することで、より具体的に定義できます。

「あるべき姿」に基づく要素が明確になったら、それぞれの要素を、どのように習得するのかを考えます。この段階では、業務外の「研修」に限定せず、業務内を含めた手段を考え、その中で「業務外(研修)」として必要なテーマを決定し、「研修企画(テーマ単位の研修内要)」の検討に入ります。

ここまでの流れを、主要職種(職掌)・等級(階層)をカバーする形で実行し整備したものが「人材育成体系」です。これは「研修」単体の話でなく、業務内での取り組みである「OJT」や「プロジェクト・タスクフォース」、業務外の研修を補完する「勉強会」や、指導する側(マネジメント層)の育成スキル強化とルール・ツールの整備といった、業務を含めた全社的な取り組みとして運営していきます。

一見して「大変だ・・・」という印象があるかも知れません。確かにある程度大きな時間・労力・コストの投入が不可欠ですが、中長期的な視点で見れば、戦力となるコア人材の育成、社内ノウハウの明文化・共有、何より新入社員・若手社員のモチベーションアップに大きな効果があり、大企業でなくとも十分に見合う効果があります。

ベリタス・コンサルティングが提供している研修

  • ソリューション営業力研修

    顧客の課題解決を実現する「ソリューションセールス」の
    全体像とプロセス毎のポイントを理解するプログラム

  • ヒアリング研修

    「ソリューションセールス」に必須であるヒアリング
    (顧客とのコミュニケーションを通した情報収集)手法を習得するプログラム

  • 面談スキル研修

    提案型セールスに必要な面談スキルを
    ロールプレイングによって習得するプログラム

  • 交渉力研修

    ビジネスにおける「交渉」の考え方と
    実践的なスキルを習得するプログラム

  • コンプライアンス研修

    「パワハラ」「セクハラ」といったハラスメントの
    理解を目的としたプログラム

  • 管理職研修

    管理職として必要な知識・スキル・マインドを習得する
    プログラム

  • ビジネス英語コミュニケーションプログラム

    英語での実践的なコミュニケーションを強化する研修プログラム。
    約190種の教材を活用し、ネイティブの専門講師による
    多彩な研修を実施。

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